その帰りにバス停のベンチに座ってバスを待っていると、同じようにそれを待つ一人のおじいさんが声をかけて来た。
見た目は80歳半ば頃で背が低い。
バスが来るまで雑談をすることにした。
「最近寒いですね」から始まり、秋葉原に来る人は昔と比べて若い人が増えた、昔の秋葉原はまさに電気街で、ラジオや電気系の物の作り方を教えてくれる人がそこら中にいた、等と昔話を聞いた。
私が「今ではこの様にビルが乱立しているが、昔は東京大空襲で焼け野原だったとは信じられない」と述べると、彼は戦時中の焼夷弾の印象を話した。
「焼夷弾が空から降って来る様子はとてもキレイだった。落下途中に花が開く様にパーッと広がる。70年弱過ぎてもその様子は鮮明に目に写っている」と。
バスが来た。
彼に別れを告げてバスに乗った。
今度その人から続きの話を聞くことは出来るのだろうか。